Lab Research 「日本株は割高」は誤解——ROE 改善は始まったばかり
目次

Hook

日経平均が 4 万円を回復し、「日本株はもう高い」という声が聞こえ始める。

Thesis

しかし、これは表面的な PER だけに注目した誤解である——日本株の真の価値は ROE 改善と株主還元強化によって、今後さらに再評価される。

Evidence

市場のコンセンサス

現在の市場コンセンサスは以下の通り:

  • 日経平均 PER(2026 年 3 月):約 15 倍
  • 歴史的中央値(過去 20 年):約 14 倍
  • **「現在はやや割高」**という見方が優勢

確かに、単純な PER 比較では「割高」という結論になるかもしれない。しかし、これは重要な要素を見落としている。

見落とされている 3 つの要素

1. ROE の構造的改善

年度 TOPIX ROE PBR
2020 7.2% 0.8x
2023 8.5% 1.1x
2026 10.2% 1.3x

出典:日本取引所グループ「株式市場統計」

東証の PBR1 倍割れ是正要請以降、企業の資本効率意識が劇的に改善した。2026 年第 1 四半期の TOPIX ROE は 10.2% に達し、これは過去 20 年で最高水準である。

2. 株主還元の強化

2025 年度の上場企業決算を分析すると:

  • 配当性向の中央値: 35% → 42%(前年比 +7 ポイント)
  • 自社株買い実施額: 過去最高の 12 兆円
  • ROE 目標開示企業: TOPIX 構成銘柄の 78%

これは一時的なトレンドではなく、ガバナンス改革の定着を示している。

3. 国際比較での割安性

市場 PER PBR ROE
日本(TOPIX) 15x 1.3x 10.2%
米国(S&P500) 24x 4.2x 17.5%
欧州(STOXX600) 14x 1.8x 12.8%
新興国(MSCI EM) 13x 1.5x 11.5%

出典:Bloomberg、各指数 2026 年 2 月末現在

日本株は ROE 水準を考慮すると、米国比で明らかに割安であり、欧州比でも遜色ない。

PEG レシオで見る成長性

PER だけでは不十分であるため、成長性を加味した PEG レシオ(PER÷ EPS 成長率)で比較する:

  • 日本:PEG = 15 ÷ 8% = 1.9
  • 米国:PEG = 24 ÷ 12% = 2.0
  • 欧州:PEG = 14 ÷ 5% = 2.8

日本株は成長性調整後でも割安である。

So What?

投資家への示唆

  1. 表面的な PER だけで判断しないこと

    • ROE 改善トレンドを織り込む必要がある
    • PBR1 倍是正の進行度を監視する
  2. 個別銘柄選別の重要性

    • 株主還元強化企業
    • ROE 改善が持続可能な企業
    • 海外収益比率の高い企業
  3. 中長期視点の必要性

    • ガバナンス改革の成果は 3-5 年スパンで顕在化
    • 短期的な値動きに一喜一憂しない

リスク要因

  • 円高進行による輸出企業収益悪化
  • 世界的な景気後退
  • 地政学リスクの高まり

これらのリスクは認識しつつも、構造的なバリュエーション改善トレンドは継続する可能性が高い。


本記事は情報の提供を目的としており、特定の投資行動を推奨するものではありません。投資判断はご自身の責任で行ってください。

引用元・参考リンク

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