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2026 年 3 月、X(旧 Twitter)で「都心アクセス指数」による駅別分析が 150 万ビューを突破し、注目を集めている。これは都市開発・不動産データの研究者リバベル氏(@xiaokouangxion1)が公開した分析で、2025 年の中古マンション取引事例と独自の都心アクセス指数を組み合わせて、「都心に近くて比較的割安な駅・エリア」を特定したものだ。
本稿はこの分析の手法と結果、そして投資・居住の観点からの示唆を解説する。
背景:リモートワーク下火で職住近接が再注目
多くの企業が現場勤務を推奨・強制し始め、リモートワークも下火になりつつある 2026 年現在、職住近接が住まい選びの大きなテーマとなっている。
首都圏では多くの大企業が都心・副都心に集中している。都心の近くに住みたいが、値段は必然的に高くなる。そんななか「都心に近くて比較的割安な駅・エリアはないだろうか」と考えるのは自然だ。
リバベル氏はこの問いに答えるべく、2025 年の取引事例をもとに分析を試みた。
都心アクセス指数の定義
都心へのアクセスのしやすさを考えるうえで、企業がどこに集積しているかを分析するのが重要だ。
首都圏に目を向けると、都道府県では東京が圧倒的。その中でもいわゆる都心 3 区(千代田、港、中央)と副都心(新宿、渋谷)+品川がそれ以外と大きな差がある。その中心地のターミナル駅は以下だ。
- 東京駅(千代田と中央)
- 品川駅(港と品川)
- 新宿駅
- 渋谷駅
リバベル氏は、この 4 駅を軸として、かつ企業数に応じて重みをつけ都心アクセス指数を定義した。
計算式
都心アクセス指数は以下の加重合計だ。
| 目的地 | 重み | 理由 |
|---|---|---|
| 東京駅・大手町(近い方) | 60% | 最も企業集積が大きい |
| 新宿 | 20% | 超大企業が多く西側の主として |
| 品川 | 10% | 港・品川エリア |
| 渋谷 | 10% | 副都心 |
計算例:清澄白河
清澄白河を例にすると:
- 東京 18 分・大手町 13 分 → 近い方の大手町 13 分を採用
- 新宿 30 分、品川 29 分、渋谷 33 分
計算:
13×0.6(東京の重み)= 7.8
30×0.2(新宿の重み)= 6.0
29×0.1(品川の重み)= 2.9
33×0.1(渋谷の重み)= 3.3
─────────────────────────────
合計 = 20.0
よって清澄白河の都心アクセス指数は20.0だ。
このようにして算出した都心アクセス指数を横軸に、2025 年に取引された中古マンション相場(坪単価・万円)を縦軸にとってまとめたのが散布図となる。
散布図の読み方
散布図の結論から言うと、左下~下であるほど、都心アクセスがしやすいのに値段が安い駅ということになる。
全部で 400 駅近くあり見づらいため、以下のエリア別に色分けして、フィルタリングできるようになっている。
- 都心 3 区
- 副都心 3 区
- 城南
- 城西
- 城北
- 城東
- 市部
エリア別の詳細
いくつか詳細な具体例を見ていこう。
城南地域
城南地域を見ると、2 つのグループに分かれる。
- 赤で囲ったグループ(割高):東急線の駅が多い
- 青のグループ(割安):京急線の駅が多い
東急線沿線はブランド力が高く、沿線の街並みも人気があるため、割高になる傾向だ。一方、京急線沿線は都心アクセスが良いにもかかわらず、比較的リーズナブルに物件が入手できる。
城西地域
城西地域の分析結果:
- 赤枠(割高):中央線沿線が多い
- 青枠(割安):西武線沿線がリーズナブル
興味深いのは、3 年前にも同じ分析をしたところ、当時は中野がかなり割安に見えていたことだ。しかし今や左上(アクセスは良いが値段が高い)に来てしまっている。再開発や人気の上昇で価格が上昇した典型例だ。
城東地域
最近存在感を増している城東地域だ。どうしてもハザードリスク(水害リスク)が気になる地域ではあるが、都心アクセスの良さは魅力だ。
しかし江東区湾岸はかなり高くなってきている。人気の清澄白河駅なども実は城東の中では高い部類だ。ただし、城東全体がかなり割安な点に注意だ。ほかのエリアとも比べるようにしよう。
城北地域
城北地域の分析結果:
- 文京区:割高に見える
- 板橋・高島平:安い
文京区は教育環境の良さや治安の良さが価格に反映されている。一方、板橋区・高島平は都心アクセスが良いにもかかわらず、比較的リーズナブルだ。
注意点:アクセスだけでは判断できない
上記でいう割安というのはあくまでもアクセスの観点のみだ。割高でも以下の要素が多分に価格には影響する。
- ハザードリスク(水害、地震など)
- 治安
- 街のブランドや格
- 教育環境
- 商業施設の充実度
- 再開発計画
総合的に判断していく必要がある。会社員ならば通勤は大きなウェイトになるので、重要な観点だとは思う。ただし、子育て環境最優先のご家庭や、通勤不要の経営者・超富裕層だとあまり響かないかもしれない。
投資・居住の観点からの示唆
投資物件の選び方
この分析から得られる投資物件の選び方のヒント:
- 京急線沿線(城南):都心アクセス良好で割安。利回り確保に向く。
- 西武線沿線(城西):中野の上昇を見逃した教訓から、次に上昇する駅を探す。
- 城東全域:ハザードリスクを許容できれば、都心アクセスの良さが魅力。
- 板橋・高島平(城北):都心アクセス良好で割安。再開発計画要チェック。
居住物件の選び方
居住物件を選ぶ場合のバランス:
- 通勤時間を最優先:会社員なら毎日使う通勤時間。ここを妥協すると長期的にストレスが溜まる。
- ハザードリスクを確認:城東など水害リスクがある地域は、ハザードマップを必ず確認。
- 街の雰囲気を実際に歩く:データだけでは分からない街の雰囲気は、実際に歩いて確認。
- 将来の再開発計画をチェック:3〜5 年後の街の変化を予測する。
さらに詳細を調べるには
リバベル氏はさらに詳細な情報を Web サイト「リバベル都市開発研究所 2.0」で公開している。
- URL: https://city-development-research.vercel.app/
- コンテンツ: 駅ごとの価格相場・取引実績・再開発動向
- 特徴: インテリジェント・プラットフォームで、インタラクティブに探索可能
プロフィールのリンクからアクセスできるので、ぜひ色々探検してみてほしい。
結論:データで読み解く不動産選び
リバベル氏の分析は、感情やブランド力だけで不動産を選ぶのではなく、データで読み解く重要性を示している。
都心アクセス指数という独自の指標と、実際の取引相場を組み合わせることで、隠れた割安駅を発見できる。2026 年現在、リモートワーク下火で職住近接が再注目されるなか、こうしたデータドリブンなアプローチはますます重要になるだろう。
ただし、データだけですべてを判断するのではなく、ハザードリスクや街の雰囲気など、定性的な要素も総合的に判断することが大切だ。
参考:
引用元・参考リンク
免責事項 — 当記事は情報提供を目的としており、特定の金融商品の売買を推奨するものではありません。投資判断はご自身の責任で行ってください。