Lab Research 不確実性が史上最高値を記録した——数字が語ること
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World Uncertainty Index(WUI)が106,862に達した。2008年のリーマン・ショック時を超え、COVID-19パンデミック時を超え、9/11テロの時すらも超えた。計測史上、最も高い値だ。

この数字が意味するのは単純な事実だ。世界は過去のどの危機よりも「次に何が起きるかわからない」状態にある。そして、不確実性はもはや一時的なショックではなく、恒常的な環境になりつつある。


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WUIはIMFが開発した指標で、143カ国の主要メディア報道における「uncertainty(不確実性)」の出現頻度を定量化したものだ。

過去のピークとの比較:

イベント WUI値 時期
9/11テロ 約58,000 2001 Q3
リーマン・ショック 約72,000 2008 Q4
COVID-19 約96,000 2020 Q1
2026年現在 106,862 2026 Q1

前回のピーク(COVID)から約11%上昇している。しかも、パンデミックという明確な単一ショックとは異なり、今回は複合要因だ——米中関税摩擦の再燃、ウクライナ・中東の地政学リスク、FRBの独立性への政治的圧力、AIによる労働市場の構造変化。単一のショックは回復する。複合的な不確実性は持続する。


解釈

この数字から読み取るべきことは3つある。

第一に、VIXとWUIは別物だ。 VIX(恐怖指数)は市場のオプション価格から導出される短期ボラティリティ指標であり、2026年2月時点で18前後と歴史的平均に近い。市場は落ち着いているように見える。一方、WUIは政策・地政学・社会構造の不確実性を捉える。両者の乖離は「市場が楽観的すぎる」か「WUIが過剰反応している」かのどちらかを示唆する。

第二に、不確実性の持続期間が変わった。 過去の危機では、WUIはピーク後2〜4四半期で50%以上低下した。今回は2024年後半から上昇基調が続き、明確な低下の兆しがない。「危機→正常化」という従来のサイクル前提が成立しない可能性がある。

第三に、不確実性の地理的分散が史上最大だ。 過去のピークでは特定地域(2001年は北米、2008年は欧米、2020年は全世界だが要因は単一)が中心だった。今回は北米(関税・政治)、欧州(ECB・極右台頭)、アジア(中国不動産・半導体規制)、中東(地政学)のすべてが同時に不確実性を生んでいる。


重要な論点

WUIが100,000を超える世界で「正常化を待つ」ポジショニングは危険だ。不確実性がベースラインに組み込まれた環境では、分散投資の意味が変わる——地域分散ではなく、不確実性への感応度が異なる資産クラスへの分散が求められる。

市場が落ち着いているうちに、ポートフォリオの前提を見直す。それが数字の語る最もシンプルな示唆だ。


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引用元・参考リンク

免責事項 — 当記事は情報提供を目的としており、特定の金融商品の売買を推奨するものではありません。投資判断はご自身の責任で行ってください。